生命保険代理店の販売手数料は高い?どれくらいもらえる?実際のところや裏事情を教えます。
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このコラムの内容
1. はじめに:生命保険代理店の手数料に関する問題提起
皆さん、生命保険代理店の販売手数料について、どのようなイメージをお持ちでしょうか?「高額な手数料をもらっている」「生命保険料の大半が手数料に消えているのでは?」といった噂をよく耳にします。実際のところはどうなのでしょうか?
生命保険業界で働く方々、特に営業職の皆さんにとって、手数料は非常に重要な問題ですよね。自分の努力がどれだけ収入に反映されるのか、気になるところだと思います。今回は、生命保険代理店の販売手数料について、その実態や裏事情を詳しく見ていきましょう。
2. 生命保険代理店とは
まずは、生命保険代理店について基本的なことを押さえておきましょう。
生命保険代理店の概要と役割
生命保険代理店とは、生命保険会社と代理店契約を結び、生命保険会社に代わって生命保険商品の販売や契約の締結を行う事業者のことです。お客様と生命保険会社の間に立ち、生命保険プランの提案や加入手続きのサポートを行います。
生命保険代理店には、大きく分けて2種類あります。
専属代理店:特定の1社の生命保険会社とのみ契約を結び、その会社の商品だけを取り扱う
乗合代理店:複数の生命保険会社と契約を結び、各社の商品を取り扱う
乗合代理店の大きな特徴は、複数の会社の商品を比較検討できることです。お客様のニーズに合わせて、幅広い選択肢の中から最適な商品を提案できるのが強みですね。
生命保険代理店の現状(登録数、従事者数)
生命保険代理店の数は、実は年々増加傾向にあります。金融庁の発表によると、2023年3月末時点で、生命保険代理店は約20,700店、そこで働く募集人(営業職の方々)は約51万人にのぼります。これだけ多くの方が生命保険代理店業界で活躍されているんですね。
では生命保険代理店で働く営業職の方と、生命保険会社に直接雇用される営業職の方では、どのような違いがあるのでしょうか?
最大の違いは、取り扱える商品の幅です。生命保険会社直属の営業職の方は、基本的に自社の商品のみを販売します。一方、特に乗合代理店で働く方は、複数の会社の商品を扱えるので、より柔軟な提案が可能です。
一方で、会社のブランド力に違いがあります。大手生命保険会社の名前は一般の方にもよく知られていますが、生命保険代理店の会社名はあまり知られていないことが多いですね。そのため、生命保険代理店で働く方は、会社のブランドではなく、個人のブランディングや営業スキルがより重要になってきます。
生命保険代理店が販売手数料を得る仕組み
生命保険代理店の収入源は、主に生命保険会社から支払われる販売手数料です。お客様が生命保険に加入すると、その生命保険料の一部が手数料として生命保険代理店に支払われます。
手数料の種類は主に2つあります
- 1. 初年度手数料:契約初年度に支払われる手数料
- 2. 継続手数料:2年目以降、契約が継続している間支払われる手数料
初年度手数料は比較的高額に設定されていることが多く、これが「生命保険代理店の手数料は高い」という印象につながっている面もあります。
では、実際のところ、生命保険代理店の手数料はどれくらいなのでしょうか?次のセクションで詳しく見ていきましょう。
3. 生命保険代理店の手数料の実態
手数料は高いのか?
結論から言うと、生命保険代理店の販売手数料は、一般的に「高い」と言えるでしょう。ただし、これは相対的な話です。何と比べて高いのか、具体的に見ていきましょう。
生命保険会社直属営業職との収入比較
生命保険代理店の手数料が「高い」と言われる主な理由は、生命保険会社直属の営業職が受け取る販売コミッションと比較した場合です。実際、ある生命保険会社の営業職だった方が生命保険代理店に転職したところ、同じ販売量でも収入が2倍になったという話も聞きます。
では、なぜこのような差が生まれるのでしょうか?主な理由として、以下が挙げられます。
1. 生命保険代理店の柔軟な経営体制
生命保険代理店は独立した事業体として、より柔軟な経営が可能です。これには以下のような利点があります。
- コスト管理:直属の営業職と比べ、オフィス賃料や福利厚生、間接部門の人件費などの固定費を抑えている生命保険代理店が多いです。
- 効率的な運営:小規模で機動力のある組織運営ができ、迅速な意思決定や顧客ニーズへの対応が可能です。
- 専門性の活用:特定の分野や顧客層に特化したサービスを提供し、より高い付加価値を生み出せます。
これらの要因により、生命保険代理店は同じ販売量でもより高い還元率で営業マンにフィーを支払うことができます。
2. 生命保険会社間の競争
生命保険代理店は複数の生命保険会社の商品を取り扱うことができるため、生命保険会社間で代理店獲得の競争が起こります。多くの生命保険会社がその売上の50%以上を代理店販売チャネルが占めているようです。生命保険会社からすると生命保険代理店は売上を上げていくための最重要ファクターなのです。そのため、自ずと支払う手数料自体も吊り上がっていく傾向にあると言えます。
手数料の高さと商品選択の関係性
ここで気になるのは、「手数料が高いからといって、それだけで商品を選んでいるのでは?」という疑問が湧いてきますよね。お客様としては手数料が高いという理由で商品を販売されたらたまったものではありません。
生命保険業界に10年以上いる私の経験から言うと、多くの生命保険営業マンやFPは、コミッションの高さだけで商品を選ぶことはありません。彼らは常に商品の特徴や優位性を研究し、お客様にとって最適な商品を提案しようと努めています。
ただし、同じような商品性なら手数料の高い方を選ぶ傾向はあるでしょう。また、いくら良い商品でも、手数料が極端に低いと販売に消極的になることもあります。これは、営業職の方々も生活がかかっているからです。どの業界でも似たような状況はあると思いますので、ある程度はやむを得ない面もあるのではないでしょうか。
顧客本位の業務運営と手数料の関係
近年、金融庁は「顧客本位の業務運営」を強く推進しています。これは、お客様の利益を第一に考えて生命保険を提案することを意味します。
たくさんの人が働いている業界ですから、高い手数料を狙って不適切な販売をする代理店や営業マンがいるのも事実です。しかし、そういった行為は長期的には信頼を失うことになり、結果的に経営を圧迫することにもなります。
優秀な代理店や営業マンは、お客様の利益と自身の収入のバランスを取りながら、誠実な提案を心がけています。そうすることで、紹介や口コミによる安定した顧客獲得につながり、長期的な信頼関係を築くことができるのです。
残念ながら法令違反を起こす会社や個人もいます。最近では、ある超大型代理店が生命保険会社から不当に広告費という名目で追加資金をもらっていた事例や、生命保険会社から人材の提供を受けていた事例がメディアで取り上げられました。
生命保険代理店で働く際は、その代理店の経営方針や業務運営の在り方もしっかりチェックすることが大切です。高い手数料だけでなく、自分の価値観に合った代理店を選ぶことが、長期的なキャリア形成には重要だと言えるでしょう。
4. 生命保険代理店の販売手数料に関する裏事情
手数料設定の裏事情
では、なぜ生命保険代理店の初年度手数料は高く設定されているのでしょうか?主な理由を見ていきましょう。
- 生命保険会社間の販売競争
- 生命保険代理店チャネルの重要性
- 生命保険代理店の経営戦略と手数料の関係
生命保険業界は非常に競争が激しい分野です。各生命保険会社は、自社の商品をより多く販売してもらうために、代理店に対して魅力的な手数料体系を提示する必要があります。
特に新商品や主力商品については、他社よりも高い手数料を設定することで、代理店の販売意欲を高めようとします。これは、家電量販店でメーカーが販売促進費を支払うのと似たような構造と言えるでしょう。
多くの生命保険会社にとって、生命保険代理店は非常に重要な販売チャネルです。実際、生命保険会社の売上の50%以上を代理店チャネルが占めているケースも少なくありません。
そのため、生命保険会社としては代理店との良好な関係を維持し、積極的に商品を販売してもらう必要があります。その結果として、比較的高い手数料設定になっているわけです。
先ほども少し触れましたが、生命保険代理店は生命保険会社と比べて柔軟な経営が可能です。例えば、オフィスの立地や規模、間接部門の人員配置など、様々な面でコスト削減の余地があります。
一方、大手生命保険会社の場合、一等地にある大きなビルを構えていたり、多くの間接部門スタッフを抱えていたりと、固定費が高くなりがちです。
生命保険代理店は、このような経費削減分を営業職への還元に回すことができます。そのため、同じ販売量でも、代理店の営業マンの方が高い収入を得られる可能性が高いのです。
代理店による経営方針の違い
ただし、全ての生命保険代理店が同じような方針で経営されているわけではありません。代理店によって、予算の使い方や経営の重点ポイントは様々です。例えば
- 教育に力を入れる代理店
- マーケティングに重点を置く代理店
- 働く環境の充実を図る代理店
- 営業への還元率を最大限に高める代理店
- 短期的な視点:高額な手数料を謳って採用を促進する代理店の中には、長期的な経営が不安定なところもあります。
- コンプライアンスリスク:過度に高い手数料は、不適切な販売行為を誘発する可能性があります。
- キャリア形成の観点:手数料が高くても、教育体制が整っていなければ、商品販売のスキルが高めていけないかもしれません。
- 教育体制は充実しているか?
- コンプライアンスを重視しているか?
- 長期的なビジョンを持っているか?
- 働く環境は整っているか?
- その代理店で5年後、10年後の自分をイメージできるか?
- 代理店の成長とともに、自分のキャリアも成長させていけそうか?
- 代理店の理念や価値観が自分と合っているか?
- 顧客本位の業務運営を実践しているか?
- 極端に高い手数料を強調し、それ以外の魅力をあまり語らない
- 特定の商品の販売を強要する傾向がある
- コンプライアンスや顧客本位の業務運営についての方針が不明確
- 教育体制や福利厚生が整っていない
- 長期的なビジョンや成長戦略が見えない
など、それぞれの代理店が独自の戦略を立てています。
そのため、「生命保険代理店の手数料は高い」と一括りに言うことはできません。代理店選びの際は、単純に手数料率だけでなく、その代理店の経営方針や将来性なども考慮する必要があります。
5. 生命保険代理店選びのポイント
生命保険業界でキャリアを築こうと考えている方にとって、どの代理店で働くかは非常に重要な選択です。ここでは、代理店選びのポイントについてお話しします。
・手数料だけで選んではいけない理由
確かに、高い手数料は魅力的です。しかし、それだけで代理店を選ぶのは危険です。なぜでしょうか?
・代理店の教育体制や経営方針の重要性
代理店選びで重要なのは、その代理店がどのような方針で経営されているかです。例えば
これらの点をしっかりチェックすることが大切です。特に、生命保険業界は常に変化しています。新しい商品知識や販売スキルを継続的に学べる環境があるかどうかは、非常に重要なポイントです。
・長期的な視点での代理店選び
生命保険の仕事は、長期的な信頼関係が鍵となります。そのため、代理店選びも長期的な視点で行う必要があります。
これらの点を慎重に検討することが大切です。短期的な収入よりも、長期的なキャリア形成の可能性を重視することをオススメします。
・注意すべき代理店の特徴
一方で、注意が必要な代理店の特徴もあります。以下のような点が見られる場合は、慎重に検討する必要があるでしょう。
このような特徴が見られる代理店では、短期的には高収入が得られるかもしれませんが、長期的なキャリア形成や安定性の面で課題があるかもしれません。自分で既に販売スキームやノウハウをお持ちの方は手数料だけで代理店を選ぶことも悪くはないかもしれませんが。
自分の価値観や長期的なキャリアプランと合っているかどうかをしっかり見極めることが大切ですね。
6. まとめ:生命保険代理店の手数料を考える際の視点
さて、ここまで生命保険代理店の手数料について様々な角度から見てきました。確かに、生命保険代理店の手数料は一般的に高いと言えます。しかし、それは単純に「高いから悪い」というわけではありません。
大切なのは、手数料の高さと顧客利益のバランスです。優秀な生命保険代理店や営業マンは、この両者のバランスを取りながら業務を行っています。高い手数料を得ながらも、お客様にとって最適な提案を行うことは十分に可能なのです。
実際、生命保険の世界は複雑で、一般の方にとっては理解が難しい部分も多くあります。だからこそ、専門知識を持った代理店や営業マンの存在が重要なのです。彼らの適切なアドバイスによって、お客様は自分に本当に必要な保障を得ることができます。
その意味で、適切な手数料は、質の高いサービスを提供するための必要経費とも言えるでしょう。大切なのは、その手数料に見合う価値をお客様に提供できているかどうかです。
そして高い手数料を得られる可能性があるからこそ、より大きな責任が伴うことを忘れないようにする必要があります。お客様の人生に深く関わる仕事だということを常に意識し、単に商品を売るのではなく、お客様の人生設計をサポートするという気持ちで仕事に臨めば、お客様との長期的な信頼関係を築くことができ、結果として皆さん自身のキャリアも安定し、成長していくはずです。
また、この業界で成功するためには、継続的な学習が欠かせません。生命保険商品は常に進化しており、社会のニーズも変化しています。最新の商品知識はもちろん、税制や社会保障制度についても常にアップデートしていく必要があります。
そして、代理店を選ぶ際は、単に手数料の高さだけでなく、その代理店の理念や教育体制、将来性なども含めて総合的に判断してください。皆さんの価値観に合った環境で働くことが、長期的な成功につながります。
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