
NISAのデメリットを検証。NISAをやっていれば将来は安泰だと思ってると落とし穴が!?Part1
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このコラムの内容
1. はじめに:NISAは本当に万能な投資制度なのでしょうか?
1-1. 読者への問いかけ
「NISAを始めれば老後は安心」「とりあえずNISAで積立投資をしておけば大丈夫」そんな声をよく耳にしませんか?
確かに、新NISA制度の開始以降、投資に対する関心は急激に高まっています。YouTubeやInstagramでも「NISA始めなきゃ損!」といった情報が溢れ、多くの方がNISAでの投資を始められています。
しかし、FPとして多くのお客様の資産形成をサポートしてきた私から見ると、「NISAさえやっていれば安心」という考え方には少し心配な面もあるのです。
もちろん、NISAは素晴らしい制度です。でも、どんな制度にもメリットがあればデメリットもあります。特に、これからFPを目指される皆さんには、お客様に正確な情報をお伝えするためにも、NISAの光と影の両面を理解していただきたいと思います。
1-2. この記事で分かること
この記事では、以下のポイントについて詳しくお話しします:
- データで見るNISAブームの実態
- 改めて整理するNISAの魅力的なメリット
- 見落としがちなNISAのデメリットと課題
- FPとして提案する賢いNISA活用法
- バランスの取れた資産形成の考え方
きっと、NISAに対する見方が少し変わるかもしれません。でも、それは決してネガティブな意味ではなく、より深く理解することで、お客様により良い提案ができるようになるということなんです。
2. NISAの人気急上昇:数字で見る投資ブーム
2-1. NISA口座数の驚異的な増加
2024年1月に新NISA制度が始まって以来、その人気ぶりは数字にもはっきりと表れています。
日本証券業協会の最新データによると、2024年12月末時点でのNISA口座数は約2,800万口座に達しており、前年同期と比較して約15%の増加を記録しています。特に注目すべきは、新規口座開設のペースです。新NISA開始後の1年間で、なんと約400万口座が新たに開設されました。
この数字、実はすごいことなんです。従来のNISA制度が始まった2014年から2023年末までの約10年間で積み上げた口座数に対し、新NISA開始後のわずか1年で約15%も増加したということになります。
特に20代・30代の口座開設が顕著で、全体の約40%を占めています。「将来への不安」と「投資への関心」が若い世代を中心に高まっていることが読み取れますね。
2-2. なぜ今、これほどまでにNISAが注目されているのか?
この急激な人気の背景には、いくつかの要因が考えられます。
まず、老後2000万円問題に代表される将来への不安です。年金制度への不安や物価上昇への懸念から、「自分で資産を作らなければ」という意識が高まっています。
そして、SNSでの情報拡散の影響も大きいでしょう。YouTubeやInstagramで「NISA」「投資」といったキーワードのコンテンツが急増し、多くの人の目に触れるようになりました。特に、分かりやすく説明してくれるインフルエンサーの存在は、投資初心者にとって心強い存在になっています。
ただし、ここで少し立ち止まって考えてみていただきたいことがあります。これほど多くの人が一斉に同じ方向を向くとき、本当にそれは正しい判断なのでしょうか?

3. 改めて確認:NISAの魅力的なメリット
デメリットをお話しする前に、まずはNISAの優れた点をしっかりと確認しておきましょう。批判のための批判ではなく、公平な視点で見ることが大切ですから。
3-1. 税制優遇の大きなインパクト
NISAの最大の魅力は、やはり税制優遇でしょう。通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座内での運用益は非課税になります。
例えば、年間120万円を20年間積み立てた場合を考えてみましょう。元本は2,400万円ですが、年利4%で運用できたとすると、20年後の資産は約3,700万円になります。この約1,300万円の利益に本来かかるはずの税金(約260万円)が非課税になるのです。
これは確実に大きなメリットですね。特に長期投資においては、複利効果と合わせて非常に強力な武器になります。
3-2. 投資初心者にとっての始めやすさ
NISAのもう一つの魅力は、投資初心者でも始めやすい仕組みが整っていることです。
月々100円から積立投資が可能な金融機関も多く、「投資は大金が必要」という心理的ハードルを下げてくれます。また、自動積立の仕組みにより、一度設定すれば自動的に投資が継続されるため、投資を習慣化しやすいのも魅力的です。
さらに、多くの金融機関でNISA対象商品が厳選されているため、「何を選べばいいか分からない」という初心者の悩みも軽減されます。
3-3. NISA利用者が実感しているメリット
実際にNISAを利用されている方々からは、以下のような声をよく聞きます:
「毎月自動で積み立てられるので、投資を意識せずに資産形成ができている」 「税金を気にせずに運用できるので、売買のタイミングを純粋に投資判断で決められる」 「少額から始められたので、投資への恐怖心が薄れた」
これらは確かに実感できるメリットで、多くの方にとってNISAが資産形成の入り口として機能していることが分かります。
4. 見過ごされがちなNISAのデメリット:FPが指摘する課題点
さて、ここからが本題です。NISAには確かに素晴らしいメリットがありますが、それだけに目を奪われて見落としがちなデメリットもあるのです。
4-1. 投資商品選択の制約
4-1-1. 選択肢の限定性
NISAの意外な盲点として、投資商品の選択肢が制限されているという点があります。
各金融機関でNISA対象として取り扱える商品は限られており、特に優秀なアクティブファンドの多くはNISA対象外になっているケースが少なくありません。海外の高パフォーマンスファンドや、機関投資家向けの優良商品へのアクセスも制限されています。
例えば、過去10年間で年率8~10%の優秀な実績を持つ某海外アクティブファンドは、多くの証券会社でNISA対象外となっています。一方で、年率4~5%程度のインデックスファンドはNISA対象として広く提供されています。
「手数料が安いから良い」という理由だけで商品を選んでしまうと、本来得られたはずのリターンを逃してしまう可能性もあるのです。
4-1-2. インデックスファンドの盲点
NISA対象商品として人気の高いインデックスファンドについても、少し注意深く見てみましょう。
確かに手数料は安く、分散投資効果も期待できます。しかし、「市場平均のリターンしか得られない」という制約もあります。インデックスファンドは、定義上、市場平均を上回ることはありません。
過去20年間のデータを見ると、優秀なアクティブファンドの中には、主要インデックスを年平均2~3%上回る成果を上げているものもあります。年率2%の差でも、20年間の複利効果を考えると、最終的な資産額には大きな差が生まれます。
もちろん、アクティブファンドには運用の不確実性もありますが、選択肢が限られることで、本来のベストな投資機会を逃している可能性もあるということは知っておいていただきたいと思います。
4-2. 情報過多時代の落とし穴
4-2-1. SNSでのNISA情報の問題点
最近、特に気になるのがSNSでのNISA関連情報の質です。
YouTubeやInstagramで「NISA始めないと損!」「この商品で月10万円不労所得!」といったタイトルの動画や投稿を見かけませんか?確かに情報発信自体は素晴らしいことなのですが、発信者の背景を考えてみることも大切です。
多くのインフルエンサーは、証券会社の口座開設アフィリエイト収入や、動画の再生数に応じた広告収入を得ています。つまり、「NISAを始めさせること」「動画を見てもらうこと」が収益に直結しているのです。
このような利害関係がある中で発信される情報が、常に中立で正確だと言えるでしょうか?「煽り」の要素が含まれていることも少なくありません。

4-2-2. 「NISA万能論」の危険性
SNSの影響もあって、「とりあえずNISAをやっておけば大丈夫」という風潮が生まれています。でも、これは少し危険な考え方かもしれません。
投資に絶対はありませんし、NISAも例外ではありません。市場が大きく下落した場合、NISA口座内の資産も当然減少します。また、急に資金が必要になった時の流動性の問題や、他の投資手法との組み合わせを考えない単一的な投資アプローチには限界があります。
「NISA以外は考えなくても良い」という思考停止状態になってしまうと、お客様にとって最適な資産形成プランを提案できなくなってしまいます。
4-3. 制度面での制約とリスク
4-3-1. 年間投資枠の制限
NISAには年間の投資枠に上限があります。つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は年間240万円です。
この制限により、まとまった資金があっても一度に投資することができない場合があります。例えば、相続で1,000万円を受け取った場合、すべてをNISAで運用しようとすると数年かかってしまいます。
また、年末になって「今年の枠を使い切らなければ」というプレッシャーから、本来であれば投資を控えるべきタイミングでも無理に投資してしまうケースも見受けられます。
4-3-2. 損益通算の不可
NISA口座内での損失は、他の課税口座での利益と損益通算することができません。
例えば、NISA口座で50万円の損失、一般口座で50万円の利益が出た場合、本来であれば相殺してゼロになるはずですが、NISAの損失は税務上なかったものとして扱われるため、一般口座の利益にはしっかりと税金がかかってしまいます。
これは、投資ポートフォリオ全体での最適化を考える上で、意外に大きな制約となることがあります。
5. FPが提案する賢いNISA活用法
これまでのお話を踏まえて、FPとしてお客様にどのようなアドバイスをしていけば良いでしょうか?
5-1. NISAを軸とした分散投資戦略
まず大切なのは、「NISAだけに頼らない」という考え方です。
お客様の資産全体を見渡して、NISA口座には税制メリットを最大限活かせる商品を配置し、それ以外の部分は別の投資手法や商品でカバーするという「適材適所」のアプローチが重要です。
例えば、以下のような配分を考えてみてはいかがでしょうか:
NISA口座 | 長期成長が期待できる株式型インデックスファンド | 全体の30~40% |
---|---|---|
一般口座 | 優秀なアクティブファンドや個別株 | 全体の20~30% |
その他 | 債券、不動産投資、現金など | 全体の30~50% |
この配分は年齢や資産状況、リスク許容度によって調整する必要がありますが、「NISA一辺倒」ではない多角的なアプローチが大切だということです。
5-2. お客様の状況に応じた活用提案
お客様一人ひとりの状況を丁寧にヒアリングして、最適なNISA活用法を提案することが私たちFPの役割です。
20代のお客様でしたら、時間を味方につけた積極的な投資戦略を、50代のお客様でしたら、安定性も重視したバランス型の戦略を提案するなど、年代に応じたアドバイスが必要でしょう。
また、投資の目的も重要です。老後資金なのか、住宅購入資金なのか、お子様の教育資金なのかによって、最適な投資期間や商品選択は変わってきます。
5-3. 情報収集と判断力の養成
SNSの情報に踊らされることなく、信頼できる情報源から正確な知識を得ることの大切さをお客様にお伝えしましょう。
金融庁や証券会社の公式サイト、中立的な立場で運営されているFP関連サイトなど、利害関係のない情報源を活用することをおすすめします。
そして、私たちFP自身も継続的に学習を続け、最新の制度変更や市場動向を把握し続けることが重要です。お客様から信頼されるアドバイザーになるためには、常に知識をアップデートしていく姿勢が欠かせません。
6. まとめ:バランスの取れた資産形成を目指して
6-1. NISAの位置づけの再確認
ここまで、NISAのメリットとデメリットの両面を見てきました。
結論として言えるのは、NISAは資産形成における「優秀な選択肢の一つ」であって、「唯一の正解」ではないということです。税制優遇という大きなメリットがある一方で、商品選択の制約や制度面での限界もあります。
大切なのは、NISAの特性を正しく理解した上で、お客様の状況に最も適した形で活用することです。「みんながやっているから」「SNSで良いと言っていたから」ではなく、一人ひとりの状況を踏まえた提案を心がけたいものです。
6-2. FPとしての責任と使命
私たちがFPとして活動する上で最も大切なことは、お客様の立場に立って考えることです。
流行りの投資商品や制度に飛びつくのではなく、お客様の人生設計全体を見渡して、最適な資産形成プランを提案する。これこそが、私たちに求められている役割だと思います。
NISAにも良い面と注意すべき面があることを正直にお伝えし、その上でお客様に判断していただく。このような誠実なアプローチこそが、長期的な信頼関係を築く基礎になるのではないでしょうか。
6-3. 読者へのメッセージ
これからFPを目指される皆さんには、ぜひ多角的な視点を持っていただきたいと思います。
一つの商品や制度にのめり込むのではなく、常に「他に良い選択肢はないか?」「お客様にとって本当にベストな提案は何か?」を考え続ける姿勢が大切です。
NISAは確かに素晴らしい制度ですが、それは資産形成パズルの一つのピースに過ぎません。お客様一人ひとりの人生という大きなキャンバスに、どのようなパズルを完成させるか。それを一緒に考えていくのが、大切なことになります。
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