生命保険代理店独立のメリット・デメリットを設立経験者が詳しく解説
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このコラムの内容
1. 生命保険代理店として独立することにはメリットある?
保険代理店の独立を考えていらっしゃいますか?「自分の理想とする保険代理店を作りたい」「経営者として成長したい」という思いをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
私はFP/保険業界特化型の転職エージェントを行う傍らで、生命保険代理店で20名の社員を抱える代表として、実際に経営に携わってきた経験があります。その中で感じた独立のメリットやデメリット、直面した課題について、できるだけ具体的にお伝えしていきたいと思います。
独立は大きなチャレンジですが、準備をしっかりと整えることで、充実したキャリアを築くことができます。また中には独立はやめておいた方が良いかもいるでしょう。このコラムを通じて、独立への第一歩を踏み出すためのヒントを見つけていただければ幸いです。
尚、生命保険代理店として独立するべきか、やめておくべきかについては以下のコラムでその人の能力や目的の面から記載させていただいていますので参考にしてください。今回は代理店経営者になること自体のメリット・デメリットについて記載させていただきます。
(参考コラム)
FP会社や保険代理店を自分で設立(起業)するか、会社に所属するか。求められる能力や具体的な仕事内容からその判断ポイントを解説
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2. 生命保険代理店独立のメリット
2-1. オリジナリティの発揮
独立の最大のメリットは、自分の理想とする会社を作れることです。たとえば、「お客様第一」を掲げる会社は多いですが、具体的にどのようなサービスや対応を行うのかは、経営者の価値観によって大きく変わってきます。
「もっとじっくりとお客様と向き合いたい」「保険以外の金融商品も含めた総合的なアドバイスをしたい」「デジタルツールを活用して効率的な営業スタイルを確立したい」「自身の営業ノウハウを広めたい」など、あなたが思い描く理想の代理店を作ることができるのです。
組織の雰囲気づくりも経営者次第です。明るく活気のある職場にしたい、落ち着いた雰囲気で専門性を追求したい、など、あなたらしさを存分に発揮できます。
2-2. 自己実現への道
会社経営者になることは、多くの方にとって人生の大きな目標の一つではないでしょうか。経営者として成功を収めることは、大きな自己実現につながります。経営者として生きていくことは多くの人の憧れでもあり、またチャレンジングな人生の目標になり得ます。自分の人生をどのように生きていくのか、終身雇用の廃止の流れや日本経済の上昇が見込みにくい状況、地方の過疎化、またIT化の急速な進展など変わりゆく世の中の中で、自分自身のキャリアデザインは今後より一層求められるでしょう。
会社経営者というキャリアはリスクも伴いますが、大きな成果が得られる可能性もある、ドラマティックな生き方だと言えるでしょう。
2-3. 経営者視点の獲得
実際に経営をしてみると、社員として働いていた時には気づかなかった多くの気づきがあります。たとえば、売上や利益に対する考え方、人材育成の重要性、リスク管理の必要性など、経営者ならではの視点が身につきます。社員からしてみると分かりづらい業務もたくさんあります。(税理士とのやり取り、役所との連携etc)。社員は社長が何しているんだろう?と思っても実は社長はめちゃくちゃ働いている、ということは往々にしてあります。
また雇用や経費をかけて事業運営をすると、そのプレッシャーは全て経営者が抱えます。そういった点も踏まえ、実際に経営をして見ないとわからないことはたくさんあるので、経営者をやってみて、はじめて経営者の気持ちがわかります。
私自身も、退職、独立した社員から「あの時は文句ばっかり言っていましたが自分で会社をやってみて吉村さんが大変だったことがよく分かりました」と言われたこともありますし、自分自身も独立する前の会社の代表に対して、自分が経営者になってみて初めて感謝の気持ちを覚えた点も多数ありました。
2-4. 法人営業での優位性
経営者という立場は、法人営業において大きな強みとなります。なぜなら、経営者同士だからこそ分かり合える悩みや課題があるからです。
実際の経営経験があることで、「社長、私も経営者としてその気持ちよく分かります」という言葉に説得力が生まれます。また、経営者向けのセミナーやイベントにも参加しやすくなり、新たなビジネスチャンスが広がります。悩みや課題を経営者から相談された時に「ウチはこうしているよ」とすぐ答えられるなどのメリットもあります。
私自身も法人保険に加入して、そのメリットや活用方法を体感したからこそ、提案がしやすくなった点が多々ありました。1人の保険営業マンが机上の空論で法人保険を提案するのと、会社経営者の気持ちが分かる保険マンが提案をするのでは提案の深みに違いが出てくるでしょう。
2-5. 税務上のメリット
会社経営には様々な税務上のメリットがあります。例えば、以下のような経費を計上することができます:
- オフィス賃料や光熱費
- 営業車両の維持費
- 販促費(名刺、パンフレット等)
- 接待交際費
- 従業員の給与・福利厚生費
- 通信費
- 事務機器のリース料
ただし、経費の計上には適切な根拠が必要です。信頼できる税理士と連携し、正しい経理処理を行うことが重要です。
2-6. 事業資産としての価値
事業が軌道に乗り、安定的な収益を上げられるようになると、代理店自体が大きな資産価値を持つようになります。年間売上が1億円を超え、安定的な利益を出せる体制が整っていれば、事業売却の可能性も出てきます。
また、代理店を次世代に承継することで、生涯にわたる収入源として活用することもできます。将来の選択肢が広がることは、大きなメリットと言えるでしょう。
3. 生命保険代理店独立のデメリット
3-1. 代理店ランクの維持
保険会社との委託契約には、様々な維持基準があります。例えば、月間や年間の最低契約件数、継続率、手数料ランクの維持などです。これらの基準を満たせない場合、委託契約の解除や手数料の引き下げにつながる可能性があります。
また、保険会社の担当者から定期的に連絡があり、成績の確認や改善要請を受けることもあります。これは代理店経営者にとって正直に言ってストレスになることがあります。
3-2. コンプライアンス対応
近年、金融業界ではコンプライアンスの重要性が高まっています。以下のような対応が必要です。
- 個人情報保護法への対応
- 契約書類の適切な保管
- お客様の意向確認プロセスの徹底
- 苦情対応体制の整備
- 従業員教育の実施
これらの体制整備には、相当の時間と労力が必要です。また、規制は年々厳格化する傾向にあり、常に最新の情報をキャッチアップする必要があります。
3-3. 経営実務の負担
経営者になると、営業以外の業務が大幅に増えます。具体的には
- 経理処理と税務申告
- 労務管理(給与計算、社会保険手続き等)
- オフィス環境の整備
- IT システムの導入と管理
- 各種契約の管理
- 営業ツールの作成
これらの業務を効率的に処理するためには、適切な外部リソースの活用や、社内での役割分担が重要になってきます。器用にこなせる方じゃないと事務面だけで大きなストレスを抱えてしまうでしょう。
3-4. 人材確保の課題
人材の確保は、生命保険代理店経営における最大の課題の一つと言えます。保険募集人の採用は簡単ではありません。はじめは自分の同僚や後輩を誘うことが人材確保できるかもしれませんが、その後中長期的に人を増やそうとすると困難な時が必ず発生します。
採用される側にも自分の人生を少しでも良くしたいという想いがあり、少しでも自分が成長できると思う会社や条件の良い会社を選びます。たくさんの会社がある中から自社を選んでもらうことは簡単なことではないです。特に既に手数料ランクが高く、社内の状況も整備されている大型代理店とどう差別化を図っていくのか、やりがいを感じてもらうのかは採用戦略上も大事なポイントです。
(参考)【FP会社/生命保険代理店へ転職したい人必見】FP会社/生保代理店のタイプは大きく5つ。あなたはどのタイプの会社が向いてる?
3-5. 組織マネジメント
社員が増えてくると、様々な課題が発生します。
- 給与やインセンティブへの不満
- キャリアパスの要望
- 人間関係のトラブル
- モチベーション管理
特に、生命保険業界では保険契約の移管が可能なため、優秀な営業社員が独立や転職するリスクが常にあります。(契約移管を不可にするとそもそも採用時になかなか自社を選んでもらえない状況が発生し、社員採用が大変になります。)そのため、社員のロイヤリティを高め、長期的に活躍してもらえる環境づくりが重要です。
マネージャーなどの管理職であれば、社員に不満が発生した際などに、社員の立場に寄り添って会社をいわば(いったん)悪者にしながら話をコントロールすることができますが、社長になると社員とは明確に利害の対立者となります。社員も社長とは自然と距離を置くことが一般的には多いです。そう言った中でリーダーシップを発揮し、会社を成長させていくことには並大抵ではない社長自身の努力が求められます。
3-6. 人材育成の責任
自社の方針やスタイルに合った保険営業パーソンの育成のための教育をする必要が出てきます。ただし、時間をとってしっかり教えてもなかなかその通りできる人材は多くはありません。特に元々前職で成果が出せていなかった人材の場合、営業トレーニングなどを受けても実践に移せない人、次の日には教えたことを既に忘れている人、教わったことを自分なりに全く解釈できていない人、お客様とのコミュニケーションの取り方に問題がある人が多いです。
しかし一方で、そのような人を戦力にすることができるのもFP/保険業界の良さでもあります。(お客様のニーズや要望、提案パターンはある程度決まっているため。)つまり結論として、人材育成にはかなりの根気が求められます。
4. まとめ:生命保険代理店経営に必要なもの
独立は決して簡単な道のりではありませんが、準備を整え、覚悟を持って臨めば、大きな可能性が広がっています。ぜひ、この記事を参考に、あなたの夢への第一歩を踏み出してください。
自分の理想とする生命保険代理店を作り、お客様の人生に寄り添いながら、やりがいのある仕事を築いていく。その挑戦を考えている人には心からのエールを送らせていただきます。生命保険代理店経営から求人サイトの立ち上げ、人材紹介事業などを幅広く経験してきた私に相談があればお気軽にお問い合わせください。
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