FP/保険営業のためのやさしい相続解説(6)不動産の評価はどのように行うのか、小規模宅地の特例について詳しく解説

FP Wanted!編集部

公開日2025年01月15日

更新日2025年01月22日

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2/7投資用不動産セミナー

1.小規模宅地の特例について詳しく知ろう!

相続税対策を考える中で重要なポイントの一つに、不動産の評価をいかに把握するのか、という課題があります。相続税評価額の目安を算出する上で、「小規模宅地の特例」を把握することは必要不可欠です。これらの制度を正しく理解することは、相続税の相談を正しく行う上で鍵となります。本記事では、保険営業やFP(ファイナンシャルプランナー)の方々にも役立つ形で、これらの特例について詳しく解説します。

小規模宅地の特例の概要

相続税は、相続財産の評価額に応じて計算されます。不動産はその中でも高額になりやすいため、相続税の負担を大きくする要因です。しかし「小規模宅地の特例」を利用することで、特定の宅地について大幅な評価減が認められる場合があります。

小規模宅地の特例は、被相続人(=亡くなった人)が住んでいた自宅の敷地や事業用地について、相続税の課税価格を大幅に減額できる制度です。具体的には、要件を満たせば評価額を最大80%も減額することができます。これは相続税の負担を大きく軽減できる、非常に重要な特例と言えるでしょう。

たとえば、路線価が1億円の土地があった場合、80%の減額により、課税価格を2,000万円まで圧縮することができます。これだけでも相続税額を大きく抑えることができますね。

1-1適用要件と減額割合

減額割合は土地の利用区分によって異なります。

1.特定居住用宅地等(ex.住んでいる家):80%減額(限度面積330㎡)

  • 被相続人の居住の用に供していた宅地
  • 相続人が相続後も居住することが条件

2.特定事業用宅地等(ex.事業を行っている場合):80%減額(限度面積400㎡)

  • 被相続人が事業用に使用していた宅地
  • 相続人が事業を継続することが条件

3.特定同族会社事業用宅地等(ex.親族が事業をしていた場合):80%減額(限度面積400㎡)

  • 被相続人が同族会社に貸し付けていた事業用宅地
  • 会社が事業を継続することが条件

4.貸付事業用宅地(ex.賃貸不動産オーナー)等:50%減額(限度面積200㎡)

  • アパートやマンションなどの貸付用宅地
  • 相続人が貸付事業を継続することが条件

※建物については特例を受けることはできません。

適用のポイント

特に重要なのは、被相続人が亡くなる直前まで実際にその土地を利用していたことが求められる点です。また、相続人についても、相続開始から一定期間その土地を利用し続けることが必要です。単に土地を所有しているだけでは、この特例は適用できないことに注意が必要ですね。

1-2. 小規模宅地の特例を受けるための条件

この特例を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。

1.相続人がその宅地を引き続き利用すること

  • 居住用であれば、相続人が住み続けることが条件となります。
  • 賃貸用の場合も、相続後に賃貸事業を継続することが求められます。

2.相続税の申告期限内に特例の申告を行うこと

  • 特例の適用には、申告期限を守ることが必須です。

たとえば、同居していた親が亡くなった場合、同居していた子どもが引き続きその家に住み続けることで、この特例を利用できる可能性があります

配偶者だけは特別扱いで、一切の要件がありません。例えば、相続した後にすぐに売却することもできます。

2.家なき子特例とは?

2-1. 家なき子特例の概要

上記はあくまで被相続人(=亡くなった人)と配偶者や家族が同居していることが前提でした。では子供が結婚する、仕事で上京するなどで別居していた場合はどうなるのでしょうか?

結論ですが、居住用の不動産を所有していない相続人は小規模宅地の特例を受けることが可能です。これを通称で「家なき子特例」と言います。

「家なき子特例」とは、被相続人(=亡くなった人)が居住していた宅地を相続する際に適用される小規模宅地の特例の一部です。特に、相続人自身が被相続人と同居していなかった場合でも、一定の条件を満たせば評価減を受けられる制度です。この制度が設けられた背景には、核家族化の進展や、仕事の都合で親元を離れて暮らす人が増えている社会状況があります。実家を相続する意思があっても、仕事の都合などで同居できない子どもへの配慮と言えるでしょう。

2-2.適用要件の詳細

以下の要件をすべて満たす必要があります。

1.相続開始の直前に被相続人と同居していなかった

  • 別居の理由は問われません
  • 遠方に住んでいても構いません
  • 被相続人(=亡くなった人)に配偶者がいないこと

2.相続開始時に自己所有または親族所有の家屋に居住していない

  • 賃貸住宅に住んでいることが条件
  • 配偶者名義の家屋に住んでいる場合も対象外
  • 三親等内の親族が所有する家屋に居住したことがある場合も対象外
  • 過去に家屋を所有していたことがあれば対象外
  • 相続した宅地を申告期限まで所有している

尚、この制度が利用できる相続人(家なき子)に居住の要件は付いておりませんので、例えば親が住んでいた田舎の物件を売却するなどの権利は自由です。

まとめ:特例を活用した相続税対策のすすめ

「小規模宅地の特例」と「家なき子特例」は、相続税を大きく軽減できる強力な制度です。特に、相続税対策を提案する保険営業マンやFPの方にとって、これらの制度を理解しておくことは、お客様の信頼を得るうえで欠かせません。

ただし、これらの制度は複雑であり、条件を満たさなければ適用を受けられない場合もあります。制度を効果的に活用するためには、お客様の状況に応じて専門家と連携し、最適なアドバイスを行うことが重要です。

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MBA (経営管理修士) / 宅建士 / FP2級

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