ファイナンシャルプランナー(FP)/生命保険営業として顧客の心を掴むために必要なスキルやノウハウ、学ぶべきことをご紹介
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このコラムの内容
信頼感の獲得はFPの仕事で最も重要なことの一つ
お客様のニーズや心の中を深く理解することは、ファイナンシャルプランナー(FP)の現場での大切な役割の一つです。他のビジネスでももちろん重要だと思いますが、お客様の人生の大事なお金のことの相談を受けるFPの仕事では、顧客ニーズを把握することは特に大事になってきます。
お医者さんの例などを取ると分かり易いかと思いますが、著者は病院にいく時、自分の患っていることの症状や状態をしっかり聞いてくれて、また自分の性格にも合わせてお薬の使い方などの相談に乗ってくれるお医者さんはいつもいいお医者さんだなと感じますし、あまり話も聞いてもらえずなんとなく薬を処方されると「本当に大丈夫か?」と感じることがあります。
お金の世界ではなおさら、お客様それぞれお金の有意義な使い方は異なりますし、将来の計画や家族への想い、また不安に感じることも異なってくるので、"お客様のニーズをしっかり理解すること”はとても重要になってきます。
ではお客様のニーズを理解するためにはどのようなことが必要でしょうか。
まずは”お客様の成功を願う強い想い”が大事ですが、実際には想いだけではなく、しっかりしたスキルが必要だと言われています。そこで本日は顧客ニーズを把握、理解するためのスキルについてご紹介していきます。
ここでは事例を交えながら「FPにとって必要なスキル」を体系的に列挙していきます。
[参考]なかなか営業がうまくいかない例も別のコラムでまとめています。
[FP/保険営業で失敗しないために①]お客様のニーズをキャッチできない理由5選
FP/保険営業が信頼感を高めるために必要なスキル6選
1. 傾聴スキルを磨いて相手の気持ちを掴む
「傾聴」は営業スキルの重要な要素の1つであり、顧客とのコミュニケーションにおいて非常に役立ちます。傾聴をするだけで、お客様から大きく信頼を得られると言われています。傾聴は、相手の意見や感情に注意深く耳を傾け、理解しようとする能力を指します。相手の話に注意を向け、言葉だけでなく、声のトーン、ボディランゲージ、感情にも注目します。質問を通じて相手の意見や要望を掘り下げ、フィードバックを提供して、相手が話す意図を理解しようとします。具体的な方法としては「大きくうなずく」「オウム返し」「オウム返ししながら話をまとめる」などがあります。
例えば、恋愛相談でも、相手にアドバイスを求めたいのではなく、ただ自分の状況や感情を聞いて欲しい、理解して欲しくて話をしたい人は多いです。筆者の経験ではただただ傾聴をしていたら、恋愛相談をしてきた方は非常にスッキリして、「あなたは本当に信頼できる、今日はありがとう」という話をいただいたことがありました。何の恋愛アドバイスもしていないにも関わらずです。
FP/保険相談の場面では、はじめにお客様が老後のお金のことで心配があるというお話をしたとします。そのような時、すぐに「それであれば有効な貯蓄手段があって〜」という解決策を説明するのではなく、まず「その点がお悩みなんですね」「それはたしかにこのままだと大変ですね」とうなずきながらしっかりお話を伺います。すると自然とお客様は自身の話を続けて話してくれるものです。
傾聴をしているつもりでできていない方は非常に多く、お客様の話に対して傾聴ではなく、単に自分の意見や考えを返してしまっているケースは非常に多くあります。今一度、傾聴がしっかりできているか見直してみるのも良いでしょう。
[参考][FP/生命保険営業で失敗しないために⑤] 相手の話をしっかり聞こう。傾聴スキルのご紹介
2. 共感力
お客様の気持ちや状況を自分のものとして感じ取ることができる力です。まるで、お客様の心の中に寄り添うように感じることで、お客様の深い理解へと繋がります。
例えば、お客様とライフプランシミュレーションを作成している場面で、教育費をいくら貯めるのかという質問になるとお客様も子供への想いや愛情を口にしながらどれくらい教育費を貯めたらよいのか悩まれることがあります。そのような時、FPも他人事ではなく「このお客様のケースだったら自分は自分の子供に対してどうするか」という共感を持って相談にあたります。共感をしていると、自然と声や表情にその想いがあらわれるものです。お客様もFPに自分の話を共感してもらえていると感じると、安心して心置きなく今の気持ちや悩みなどを話すことができるようになります。家族がいる、人生で大きな失敗経験がある、挫折を乗り越えた経験があるなど、FPの仕事に自身の人生経験が役立つと言われるのもこのためでしょう。
[FP/保険営業で失敗しないために④] 相手をしっかり褒めよう
3. 質問の技術
「質問スキル」は、営業において非常に重要なスキルの1つと言われており、顧客との対話を通じて情報を収集し、顧客のニーズや要望を理解するために用いられます。「質問スキル」に関してあまり意識してこなかったFPはぜひ一冊質問スキルに関する本を購入して見てください。FPや保険営業の仕事の大半は「話す」仕事ではなく、実は「聞く」ことにポイントがあります。お客様も話を永遠と聞かされるより、自分で話しながらポイントを指摘してくれるFPの方が信頼を置けます。
質問スキルの一例ではオープンクエスチョンとクローズドクエスチョン、掘り下げ質問、クロージングへの誘導などがあります。
オープンクエスチョンとは通常、「何(What)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」「いつ(When)」「どこで(Where)」「誰が(Who)」などの疑問詞で始まるもので、お客様が自由に話せることで問題の根本的な部分を伺うことに有効です。一方でクローズドクエスチョンとは「はい」「いいえ」など単語や短いフレーズで答えてもらう質問で、お客様が答えることや話すことにストレスを感じにくい状態で面談を進めることができる技術です。オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを織り交ぜながら、お金の計画に必要な情報をまとめていきます。掘り下げ質問は深掘りとも言います。一つ質問をして返ってきた回答に対して「そう思うのは何故ですか?」などお客様の思考を掘り下げることで、相談当初では見えていなかったお客様の本来の価値観や本当の悩みなどを汲み取ることができます。表面上の相談内容だけを伺っていては本質的な問題解決に導くことは難しいです。
例えば、FP相談の場面でもお客様ははじめご相談内容を伺うと「副業を考えている」「NISAでの運用が知りたい」と表面的な質問や回答をされることが多いですが、一つずつ紐解いて質問していくと「夫の体調があまり良くなく、子供が大学生になった時に教育費が支払い続けられるのか不安に感じている」というような本音に辿り着くことがあります。このお客様の深いところにある本音をしっかり把握しなければ、良い提案には辿り着きません。
また次回面談やプレゼンに繋げる時にも効果的な質問スキルが存在します。繰り返しになりますが、とても重要なポイントなので、質問スキルについてあまり知らない方はぜひ本を一冊購入して学びましょう。
4. 観察力
言葉だけでなく、お客様の表情や身振り、態度からも情報を読み取ることができる力です。時には、無言の瞬間が真実を教えてくれることもあります。「空気が読めるかどうか」はお客様の大事なお金の話をするFPや保険営業には重要な力です。空気が読めない方があまりこの職業は向いていないかもしれません。
一例を挙げてみますと、お客様が腕組みをしていたら、心を閉じている状態です。FPのことをまだ信頼していない状況では正直にお金の悩みを伝えにくいもの。そんな時に人はボクシングのガードをするように腕組みをして防御の態勢になります。まずはFPが笑顔で手を広げた状態で面談をしてみましょう。少しずつお客様の心も開いてくるものです。
また会話のなかで「●●●なんですが」と逆説で言葉が終わるときは、逆説のあとにくる言葉が本音の部分。そこを伝えるのは気が引けて割愛し逆説でフレーズが終わることがあります。「●●●だけど、本当は何でしょう?」と本音の部分を話しやすい質問をすることで本当に相談したかった悩みを話してもらえるようになります。その時にお客様が話すまで無言の瞬間が訪れても、話し出すまで我慢してみることで本音を話し出してくれるものです。
5. 問題解決スキル
お客様のお金の問題や悩みを理解した上で、それを解決するための方法や手段を考え、提案する力。お客様のために最善の方法を模索する姿勢が大切です。
お客様の問題解決よりも、とにかく保険の話や金融商品の話をたくさんしてしまう保険マンやFPも世の中にはたくさんいます。大事なことはお客様の悩みや価値観、気づいていない課題を把握し、お客様にそのことについてまず気づいて頂くことです。
お客様の問題を聞く、解決策を提示するというお客様の気持ちに寄り添ったコンサルティングにはある程度決まったプロセスが存在します。商談におけるコンサルティングプロセスを知らない方はやはり研修を受ける、本を購入して読むことをオススメします。(保険会社の初期研修で学ぶ「3つの保険とは」やライフプラン作成のためのヒアリングなどはコンサルティングプロセスの話ではなく、ただのセールストーク、必要情報のヒアリングなので混同しないようにしてください。)お客様の話を聞きながら、お客様自身に目標や課題に気づいてもらうコンサルティング話法は非常に重要です。
どれだけ良い人だと思われても、どれだけ面談が盛り上がってもお客様のお悩みの問題解決が出来なければ良いFPとは言えません。これはお医者さんに例えると分かりやすいです。いつもニコニコしていて診察がストレスではないが、病気を直してくれないお医者さんと、ぶっきらぼうでも何の病気か診断してくれて、その病気に聞く薬を処方してくれて、そもそもの生活習慣を改善することで再発を防げるというアドバイスをくれるお医者さんがいたとします。どちらのお医者さんが本当に良いお医者さんと言えるでしょうか。どちらの良い部分を兼ね備えることがお医者さんとしては素晴らしいかもしれませんが、後者のお医者さんとしての力があってこそお医者さんとしての役目を全うできるはずです。
これはFPも同じことが言えます。教育費の心配で相談にきたけど本当の問題は何も準備していなかった老後の生活資金についてということが分かり、その為の積み立て投資が実践可能なものを提示してくれる、また資金の管理ができていないお客様にはお金の管理方法からアドバイスができるFPは感謝されます。何も解決してくれないFPと比べて存在価値は雲泥の差になってしまうでしょう。
6.プレゼンスキル
そして最後に重要なのはプレゼンテーションスキルになります。保険営業やFPに携わっている方の中で「プレゼンテーション」をしっかりトレーニングされた方はいらっしゃいますでしょうか?多くの方が設計書を丁寧にそのまま説明することが大事であり、それがプレゼンだと思っていることが多々あります。
やり方は多々あるので、筆者の一意見ではありますが、例えば保険のプレゼンで大事なことはお客様にとって覚えやすくメリットを感じる結論を、分かりやすく解釈し、先に述べること。
例えば、
- もし三大疾病になったら、保険会社が積み立て保険料を立て替えてくれる商品です
- 現在の保険と保障内容や保険料はほとんど変わらず、保障が85歳までだったものが一生涯になります
- 死亡してもがんになっても65歳まで毎月ずっと20万円給付してくれる保険です
まず分かりやすい結論を先に提示し、その後で詳細やポイント、注意点を話して行くことをオススメします。設計書の1ページ目から丁寧に話し始めても、ほとんどのお客様は次の日にはほとんどのことを忘れてしまいます。繰り返しになりますが、お客様が記憶に残る、分かりやすい、メリットを感じる結論を先に話すことがとても重要です。
上記はプレゼンで大事なポイントの一例です。
金融商品は目に見えない商品がたくさんあります。プレゼンに関しても、徹底的に研究や改善を繰り返すことができる人は成功を手にする確率が高いでしょう。
なお、プレゼンテーションに関するコツやポイントについては以下の記事でもまとめていますので参考にしてください。
[参考][FP/保険営業で失敗しないために②] 専門用語を使いすぎない
[参考][FP/保険営業で失敗しないために③] 話し過ぎないことに気をつけよう
[参考][FP/保険営業で失敗しないために⑥] 結論を先に話そう
[参考][FP/保険営業で失敗しないために⑦] ”情緒的価値説明”がFP/保険営業にもたらす絶大な効果
顧客の心を掴むことがFPの成功への道
成功に近づくためには上記のような要素が必ず必要になります。自分で学習して習得できる人もいれば、自分に足りていないスキルを学ぶというスタンスも重要です。また、自分でスキルを上げていくことに自身がない方は、しっかりトレーニングをしてくれる環境で保険営業/FPとしてやり直すというのも1つの選択肢になります。「どのような環境で働くか」「誰と働くか」で成功可否は大きく異なります。今のあなたの上司があなたの課題に対して適切なアドバイスやトレーニングをしてくれない場合は、転職を考えることも1つの有効な手段になります。今の環境やこれまでのお客様に固執するよりも、早めに未来を見つめることをオススメします。(職場が変わっても多くの場合、工夫次第でこれまでのお客様のフォローは可能です。)
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