[FP/生命保険営業で失敗しないために①]お客様のニーズをキャッチできない理由5選
このコラムは分で読めます
このコラムの内容
はじめに
FPや保険営業には共通するありがちな失敗例(だけど本人は気がついていないケースがある)がございます。このシリーズではFP、保険営業の商談を聞く中で失敗しがちなケースやその対処法についてお話していきます。
今回は【お客様のニーズをしっかり捉える】です。相手の話を聞かないとはどういうことでしょうか?このコラムでは、具体的な失敗例と、その影響について掘り下げていきます。
[参考]FPとしていまく営業していくためのポイントをまとめたコラムもあげていますのでぜひ参考にしてください。
ファイナンシャルプランナー(FP)/生命保険営業として顧客の心を掴むために必要なスキルやノウハウ、学ぶべきことをご紹介
お客様の本音を聞くのは想像以上に難しい
成績の良くないFPの商談を聞いていると相手の話を聞いてないと見受けられることが多々見受けられます。多くのその商談の最後のパターンは、FPとしてのビジネスチャンスである金融商品の提案が成約に至らない結果となってしまっているのです。まず相手の話を良く聞き、お客様の本音をしっかり把握することが大事だと言われています。お客様の本音を聞き出すことはとても難しく、本音を聞けるかどうかが、良い商談ができる1つのポイントになってきます。
FPの仕事におけるヒアリングの重要性について
FPの仕事におけるヒアリングの重要性は言わずもがな。ヒアリングは、単にお客様が何を話しているかを聞く行為にとどまらず、その背景にあるお客様の価値観や生活状況、将来の目標、そしてお客様本人が気付いていなかったような潜在的な不安・ニーズを深く理解するプロセスです。特に、お客様は初回面談でいきなり本音を話してくれないです。はじめて話をする相手に全て話すのはなかなか難しいことですし、お客様自身も頭の中で自身の状況や気持ちについて整理できていないことの方が多いです。したがって、FP側がしっかりお話をヒアリングできるようにする必要性があります。
お客様の隠れたニーズを読み取れるか
たとえば、あるお客様が「教育費のために貯金をしたい」と相談されたとします。FPがこの情報をもとに即座に教育費用のための貯蓄プランを提案したとしましょう。多くのお客様は、はい分かりましたと契約することはほぼありません。
しかし、もしヒアリングをさらに深めて、「なぜ教育費の貯蓄に対して不安を覚えるのか」「どのような教育をお子様に受けさせたいのか」「そのためにどれくらいの資金が必要と見積もっているのか」など「なぜ?」「具体的には?」「それがないと本当に困るのですか?」などと様々な角度から質問を続けると、お客様も考えながら自分の言葉でその理由を語ってくれるようになり、お客様の本当のニーズが明らかになってきます。
このケースでは例えばお客様ご自身が私立の中高一貫校を卒業しているためお子様の進路も私立を望んでいる、、子供が小学生になるまではパートで働くことを希望しているがお金が足りるのか心配しているということがあるかもしれません。
まずはお客様の家庭環境や考えていることをしっかり把握することが、ご提案をする前段階でとても重要になってきます。お客様のことをしっかり理解していることが後のご提案の段階でも大きな説得力を発揮します。
ヒアリングで信頼関係を築くことができる
また、ヒアリング能力はお客様との信頼関係の構築のためにとても重要と言われています。お客様が自分の話に真剣に耳を傾けてくれるFPには、より深い信頼を寄せ、長期的な関係を築く可能性が高まります。一方で、ヒアリングが不十分だと、お客様は自分の思いが理解されていないと感じ、提案された解決策に対しても疑問を持つことになるでしょう。
FPからの質問にお客様が回答した際は、必ずその理由をしっかり聞くことが重要になってきます。お客様の回答に対しては「なぜそう思われたのですか?」と質問を行うことが重要です。お客様の回答に対して「この回答だから、こういう理由だ」とFP自身が勝手に思い込んでしまい、それ以上の質問をしないことはよく起こりがちです。本当の答えはお客様しかもっていないという事を肝に銘じておきましょう。
ヒアリングはFPにとって、お客様の隠れたニーズを把握し、そのニーズに合わせた最適なお金の計画の作成や解決策、金融商品の提案を提供するための基礎となります。
お客様のニーズをキャッチできない理由5選
ではなぜこれほど重要なヒアリングを行わず、ニーズをキャッチできないということが起きるのでしょうか。お客様の願望や問題を深く聞き出さない理由は様々ですが、主なものを記載します。
1.傾聴のスキルがない
傾聴のスキルを具体的に取り入れていくことは大変重要なポイントです。
FPの営業における傾聴スキルは非常に重要です。具体的なスキルと例を挙げて説明しましょう。いくつか例をあげてみます。
- 積極的な傾聴 - 相手の話に集中し、言葉だけでなく非言語コミュニケーションにも注意を払う
- 共感的理解 - 相手の感情や立場を理解しようと努める
- パラフレージング - 相手の言葉を自分の言葉で言い換えて確認する
- 沈黙の活用 - 相手が考えをまとめる時間を与える
- 例:顧客が将来の不安について話す際、表情や声のトーンの変化に注目する
- 例:「老後の資金が心配なんですね。その気持ち、よくわかります」
- 例:「つまり、安定した収入と同時に、資産運用にも挑戦したいということですね」
- 例:重要な質問の後、数秒間の沈黙を置き、相手の回答を待つ
2. お客様の背景にあるストーリーを理解しようとしない
お客様の背景にあるストーリーを理解しようとしないことは、FPが犯しがちな大きな過ちです。お客様の背景には、その人の価値観、経験、家族構成、仕事、将来の夢や不安など、お金の状況に直接影響を及ぼす要素が含まれています。これらの要素は、お客様一人ひとりのお金の計画において独自の役割を果たし、その人にとって最適なアドバイスを形成するために不可欠です。
お客様の背景にあるストーリーを無視すると、FPは誰にでもあてはまるような標準化されたアドバイスや一般的な金融商品を提案する傾向にあります。これはお客様の相談内容に必ずしも適合しない場合があります。例えば、あるお客様が住宅ローンの相談に来たとします。FPがお客様の家族構成やキャリアプラン、生活目標を深く理解せずに、ただ低金利のローン商品を支払い期間35年で勧めることは、お客様の実際のニーズに合わない可能性があります。もしかするとそのお客様は、短期間での転職や海外移住を考えており、20年未満の返済計画を求めているかもしれません。
また、お客様のストーリーを聞くことは、その人の価値観や優先順位を理解することにも繋がります。たとえば、退職後の生活において最も価値を置くことが「家族との時間」であるお客様に対して、効率だけに焦点を当てたお金の計画を提案するのは適切ではありません。そのお客様にとっては、お孫さんの教育資金や家族での集まりを可能にするようなお金の計画が適切かもしれないのです。例えばそのお客様に対して保険を活用するにしても、「保険で残された家族を守りたい」という想いよりも「老後も家族との時間を有意義に過ごす」ための資産形成に繋がる保険提案であれば喜んでいただけるのではないでしょうか。
このようにお客様のストーリーを無視することは、FPや保険営業がお客様の真のニーズと目標に対して把握できず、結果的にお客様に最適な提案ができていない状況を生み出すことになります。このため、FPはお客様一人ひとりの言葉に耳を傾け、それを理解し、お客様のお金の計画に組み込むことが不可欠です。お客様との関係構築と信頼の確立には、このような個別化されたアプローチが欠かせません。
3.自分の話ばかりをしてしまう
FPや保険営業が自分の話ばかりをしてしまう行動は、お客様にとって非常に大きなフラストレーションの原因となります。また商談トレーニングなどをこれまで行ってきた経験論から申し上げると、多くの保険マン/FPは自分のことを話をしすぎている事が多いです。このような状況は、FPや保険営業がお客様よりも自身の経験や意見、商品知識を前面に出し過ぎることで生じます。FPや保険営業は専門家としての自信や知識を示したいという意図があるかもしれませんが、それが過ぎるとお客様の話を遮り、お客様のニーズや懸念を十分に理解する機会を失います。
例えば、FPが新しい金融商品について熱心に語り、その利点や成功事例について長時間話し続ける場合を考えてみましょう。これにより、お客様は自分の状況や要望を共有する時間を奪われ、お客様の持つ独自の問題や目標について話す機会が減少します。お客様は自分が理解されていないと感じ、FPに対する信頼を失い始めるかもしれません。
また、FPが自分の話ばかりするもう一つの理由は、コンサルティングの技術が未熟である傾向があるためです。これは、お客様がFPとのやり取りでパーソナライズされたサービスを受けていると感じられないという状況を生み出します。お客様は自分の価値観や目標がFPによって適切に反映されるサービスを求めており、自分のニーズに合わない情報や商品を押し付けられると感じると、サービスに対して否定的な印象を持つようになります。
最終的に、FPが自分の話ばかりをしてしまうという行動は、お客様との信頼関係を築く上で障害となります。お客様中心のアプローチを取り、お客様の話を聞き、理解し、共感することが、成功するFPには不可欠です。お客様のニーズに真に応え、価値あるソリューションを提供するためには、お客様の視点を常に最優先に置くことが重要です。
4. 説明が長い
説明が長いとお客様に、感じられるとFPや保険営業がその後どれだけ熱く語ったとしてもお客様の印象は「とにかく話が長い人だ、この話は私には難しすぎる」と、興味があったとしても早くこの時間おわらないかな、としか思わなくなってしまいます。一般的に、人は話を聞かされるよりも、自分が話す方が好きだということをまず理解する必要があります。
自分の説明が長いと感じているFPや保険営業の方は、まず結論を先に伝えるようにしましょう。そしてパンフレットに沿ったような説明をどんどんとするばかりではなく是非、具体例を話しながらプレゼンした方がお客様に伝えたいことが伝わります。分かり易い言葉を選びながら、お客様目線で話すことが出来れば必ず伝わる事でしょう。また、会社紹介や自己紹介もお客様のヒアリングがしっかりできた後で行う方がうまく行くことも多いことを念頭に面談冒頭の会話のプランを作りましょう。
説明が長いとお客様は話を聞きたくなくなる、という事が分かっても慣れないうちは、いざやってみるとついつい長く話してしまい、端的に話をすることが難しく感じるかもしれません。一つの目安として面談中に準備してある飲み物の減り具合を確認したら気付きやすいです。説明時間をまとめる、コンパクトにして、説明に対するお客様の意見を聞く時間を多く割くことを心がけてみましょう。
5. 質問スキルがない
FP営業における質問スキルは非常に重要です。適切な質問を行うことで、顧客のニーズを深く理解し、最適な提案につなげることができます。以下に、質問スキルの重要性、メリット、具体的な内容、そして例を挙げて説明します。
具体的な質問スキルと例
- オープンエンド質問 定義:広く自由な回答を促す質問
- クローズドエンド質問 定義:具体的な事実や決定を確認する質問
- 掘り下げ質問 定義:より詳細な情報を引き出す質問
- 仮説質問 定義:仮定の状況を提示して考えを引き出す質問
- 反射質問 定義:相手の言葉を使って質問し、さらなる説明を促す
- スケーリング質問 定義:程度や重要性を数値化して尋ねる質問
- 未来志向の質問 定義:将来の目標や理想の状態を描かせる質問
- 優先順位付け質問 定義:複数の選択肢の中から重要度を判断させる質問
例:「将来の資産運用について、どのようなお考えをお持ちですか?」
例:「現在、投資信託をお持ちですか?」
例:「その投資経験から、具体的にどのような教訓を得られましたか?」
例:「もし突然1000万円の資金ができたら、どのように活用されますか?」
例:顧客:「老後が不安です」 FP:「老後が不安とおっしゃいましたが、具体的にどのような点が不安でしょうか?」
例:「1から10のスケールで、現在の資産運用にどの程度満足していますか?」
例:「5年後、理想的な金融資産の状態はどのようなものでしょうか?」
例:「安全性、収益性、流動性の中で、最も重視されるのはどれですか?」
ニーズ把握力を高めるには
相手の話を聞かずに面談が失敗に終わってしまう面談が多い、ヒアリング力が足りていないと感じる場合の解決策としては以下のようなことが考えられます。
- できる人に聞く 商談やヒアリングのできる人に教えてもらうというのは一つの近道です。成績の良い人ほどヒアリングはしっかりできていることが多いです。
- ロープレに取り組む 自身1人で改善することが難しい、自身では気付きにくいクセなどがありますので客観視してもらえることで課題が分かりやすくなります。 また反復することで身につくものなので、練習しても身につかないというわけではないので安心して是非取り組んでみましょう。ロープレ相手の話を聞いてみる(お客様役をやる)ことでお客様の気持ちがより分かるようになることもあります。
- 学びの時間をつくる 社内研修に積極的に参加する、外部研修を受けてみることで新しい発見を得ることができることもあります。また質問スキルの本を読むなど隙間時間を活用することで学びの時間を確保するのもおすすめです。
質問スキルを向上させるには学びと経験の両方が重要です。ただ、その面談一つ一つを大切にするために準備を万端にしてのぞむのかどうかで結果は変わってきます。
生命保険営業/FPとしてより成功するために
成功に近づくためには上記のような要素が必ず必要になります。自分で学習して習得できる人もいれば、自分に足りていないスキルを学ぶというスタンスも重要です。また、自分でスキルを上げていくことに自身がない方は、しっかりトレーニングをしてくれる環境で保険営業/FPとしてやり直すというのも1つの選択肢になります。「どのような環境で働くか」「誰と働くか」で成功可否は大きく異なります。今のあなたの上司があなたの課題に対して適切なアドバイスやトレーニングをしてくれない場合は、転職を考えることも1つの有効な手段になります。今の環境やこれまでのお客様に固執するよりも、早めに未来を見つめることをオススメします。(職場が変わっても多くの場合、工夫次第でこれまでのお客様のフォローは可能です。)
FP Wanted!はFP会社/生命保険代理店転職をサポートするための様々な機能を搭載!
1.求人検索
ファイナンシャルプランナーWanted!ではファイナンシャルプランナー(FP)/生命保険業界で自分により適した企業や求人を見つけることが可能です。大手求人サイトには掲載していない求人も多数あり、また業界特化型サイトならではの詳細な情報を掲載しています。FP Wanted!のおすすめポイント(強みや差別化ポイント)では、同じように見えるFP会社/生命保険代理店でもどのような違いがあるのかが良くわかります。求人検索はエリアや様々な条件で検索ができ、中にはカジュアル面談などに対応可能な会社もあります。
2.個別カウンセリング
ファイナンシャルプランナーWanted!ではファイナンシャルプランナー(FP)や生命保険業界の経験者、未経験者に向けてキャリアカウンセリングを全国で無料で実施しています。転職に迷う、これから転職を考えているが不安を感じる点がある方はカウンセリングを受けてみましょう。ファイナンシャルプランナー(FP)や生保営業マンとして、どのようにキャリアを積んでいくべきか、どうしたら成功に近づくか、FP経験のあるキャリアアドバイザーが丁寧に個別カウンセリングを行います。インターネットでは書けない業界事情やキャリアの考え方などをあなたの状況に合わせてお話しします。
例えば顧客開拓に自信がない方であれば、既存契約リストや業務提携案件など行き先のある会社、固定給与のある会社など、「よりストレスが少なく成功確率が高い」という条件で働ける会社を選定、ファイナンシャルプランナー(FP)業界でキャリアをスタートできる会社のご紹介も可能です。
3.セミナー参加
ファイナンシャルプランナーWanted!ではセミナーも随時開催しています。情報収集をすることはキャリアを考える上でも非常に重要です。そうした際にセミナー参加は大変役に立ちます。キャリアプランや転職を考える上で参考になる情報が得られたり、セミナー参加を通して求人情報だけでは分からない企業の特徴や代表の思いや人柄なども分かります。
ファイナンシャルプランナー(FP)の会社、生命保険代理店への求人マッチングがより行えるようになることで、この業界に貢献したい、そしてその先にいるお客様や社会に貢献したい。そのような思いでサイト運営をしております。
ファイナンシャルプランナー(FP)や生命保険営業を目指す方はぜひファイナンシャルプランナーWanted!をご活用ください。
このコラムもおすすめです
-
FP/生命保険業界の外部研修や勉強会には無料と有料の研修の2種類がある。それぞれのメリット、デメリットを解説
コラムを読む -
自転車ユーザーが知っておくべき2024年11月からの道路交通法の改正
コラムを読む -
自転車保険はインターネットと保険代理店経由のどちらで加入するのが良いのか。双方のメリット・デメリットを解説
コラムを読む -
自転車保険選びのポイントをレクチャー。自動車保険、火災保険との違いや保障内容の重複に注意が必要!
コラムを読む -
自転車保険に加入する重要性、自転車保険の保険料やオススメの補償内容、注意点について解説
コラムを読む -
FP/保険業界にはどんな外部研修がある?研修の種類や特徴、入会検討時の注意点を解説
コラムを読む
ファイナンシャルプランナー・事務職・企画職として、
より充実したお仕事をするなら
日本初、ファイナンシャルプランナー特化型の求人・転職情報サイト
ファイナンシャルプランナーWanted!で活躍の場を広げよう!