FP/保険営業のためのやさしい相続解説(8)〜不動産よりメリットがある?〜相続税対策で生命保険を使う3つのメリット
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このコラムの内容
1.相続税対策における生命保険活用の基礎知識
相続税対策で保険の活用は有効な手段
皆さまは相続対策において、生命保険がどれほど重要な役割を果たすかご存知でしょうか?生命保険は単なる保障商品ではなく、相続税対策における強力なツールとして活用できます。特に、相続に関する課題の多くが生命保険によって解決できることをご存知の方は、一般の方はまだ少ないかもしれません。今回は、相続における生命保険のメリットについて、実務的な観点からご説明していきましょう。
特に近年は相続税対策と言うと、不動産と言うイメージが強く、実際に不動産で相続税対策をする方が多くいらっしゃいました。一方で2024年の税制改正等によりマンション購入等は相続税対策で効果を発揮するウェイトは小さくなりつつあります。 不動産のように、複雑な手続きや仲介手数料を支払ったりするよりも、生命保険を活用した方が 手続き的にも書類1枚で完結する、そして大きなパフォーマンスを発揮することもございます。不動産を使うべきか保険を使うべきかに関しては、お客様の資産や家族状況によっても異なるため、適切な使い分けが必要ですが、世の中で認識されている以上に、生命保険が効果を発揮する事は間違いないでしょう。
(参考)
FP/保険営業のためのやさしい相続解説(7)マンションや建物の評価はどう行う?また2024年から改正されたタワマン税制について解説2.生命保険を相続で活用する3つのメリット
今回は、具体的な生命保険の相続における活用方法と言うよりも、根本的に生命保険を使うとどんなメリットがあるかと言う基本中の基本の部分について解説していきます。
1. 迅速な現金化が可能
相続が発生した際、まず直面するのが現金の必要性です。お葬式の費用をはじめ、さまざまな支払いが発生しますが、これらの費用は待ってはくれません。ご存知の方も多いかもしれませんが、被相続人の預貯金は死亡が確認されると金融機関により凍結されてしまいます。実際の現場では、100万円単位の支出が必要になることも珍しくありません。
◾️預貯金凍結の現実
「でも、故人の預金があるから大丈夫じゃないの?」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、残念ながらそう簡単にはいきません。金融機関では、相続人が確定し、遺産分割協議が整うまでは原則として預貯金の払い戻しに応じないのです。
この遺産分割協議が終了するまでの期間は、案件によって大きく異なります。相続人間で円滑に話し合いが進めば数ヶ月で終わることもありますが、意見の相違があった場合には1年以上かかることも少なくありません。その間、預貯金が凍結されたままとなるわけです。
◾️2019年7月からの新制度
2019年7月1日からは民法改正により、一定額の預貯金の仮払い制度が始まりました。しかし、これにも上限があり、場合によっては家庭裁判所の許可が必要となります。実務上は、この制度だけでは十分とは言えない場合が多いのが現状です。 そんな時にすぐに現金化ができる生命保険には大きな価値があるといえます。お葬式代や当面の生活費、諸々かかるお金に対してすぐに現金が入ってくると言う状況は、実際の相続の場面ではかなり役に立つことでしょう。
◾️納税資金としての活用
相続税の納付についても考えてみましょう。相続財産の大部分が自社株や不動産など、すぐに現金化が難しい資産である場合、納税資金の確保が大きな課題となります。このような場合、生命保険があれば、スムーズな納税が可能となります。
2. 相続放棄との両立が可能
生命保険の特筆すべき特徴として、相続放棄をしても保険金を受け取れる点が挙げられます。これはどのような場面で活きてくるのでしょうか?
◾️相続放棄のケーススタディ
例えば、被相続人(=亡くなった人)に多額の借金があるケース。このような場合、相続人は相続放棄をすることで借金の相続を回避できます。ただし、これは預貯金や不動産などの資産も一切相続できなくなることを意味します。
しかし、生命保険であれば、たとえ相続放棄をしても受取人として指定されていれば保険金を受け取ることができるのです。これは、残された家族の生活を守るための重要な選択肢となります。
◾️実務上の活用ポイント
相続放棄を検討する際は、以下の点に注意が必要です:
- 相続放棄は相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります
- 一度相続放棄をすると撤回できません
- 相続放棄は相続人ごとに判断できます
3. 遺産分割対象外という特徴
生命保険金は民法上、相続財産には含まれません。これはどのような意味を持つのでしょうか?
◾️受取人の権利
生命保険金は、指定された受取人の固有財産となります。つまり、遺産分割協議の対象とはならず、確実に指定された方へ保険金をお渡しすることができます。これは、遺言書による指定とは異なり、争いの余地が極めて少ない方法と言えます。
◾️活用方法
例えば、以下のような活用方法が考えられます。
- 生前の介護でお世話になった方への感謝の気持ちとして
- 事業承継における代償金の支払い原資として
- 相続税の納税資金として
- 相続人間での公平な財産分配の調整手段として
◾️実務での具体的な活用例
事業承継のケースを具体的に見てみましょう。例えば、不動産賃貸業を営んでいる方が、長男に事業を承継させたいものの、次男・長女にも平等に財産を残したいと考えているケース。このような場合、生命保険を活用することで、長男には事業用不動産を相続させ、他の相続人には生命保険金で調整するという方法が可能となります。
4.相続対策で生命保険は大きな活用手段になる
生命保険は、相続対策において非常に柔軟で効果的なツールとなります。お客様への提案時には、これらの特徴を踏まえた上で、個々の状況に応じた最適な活用方法をご提案していくことが重要です。
相続対策は一朝一夕には進みません。しかし、生命保険という選択肢を知っておくことで、お客様により良い提案ができるはずです。具体的な提案の際は、税理士などの専門家とも連携しながら、総合的な相続対策の一環として生命保険を位置づけていくことをお勧めします。
お客様一人ひとりの状況は異なりますが、生命保険の特徴を理解し、適切に活用することで、相続に関する多くの課題を解決できます。
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