FP/保険営業のためのやさしい相続解説(10)【2025年版】相続時精算課税制度って結局何がいいの?概要やメリット・デメリットについて解説
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相続時精算課税制度って結局なにがいいの?
FP試験等でもよく出てくる相続時精算課税制度。本などを読んでも難しいことが書いてあり、結局何がメリットなのかよくわからないと言う方も多いのではないでしょうか。今回はできるだけシンプルにこの制度について解説していきます。
相続時精算課税制度の基本的な仕組み
相続時精算課税制度は、親子間や祖父母・孫間の財産承継を支援するための特別な税制度です。この制度の最大の特徴は、生前贈与と相続を一体的に捉え、税負担を柔軟に調整できる点にあります。
1. 対象となる贈与者と受贈者(=受け取る人)
- 贈与者:60歳以上の親または祖父母
- 受贈者:18歳以上の子または孫
2. 贈与税の特別控除
- 一人の贈与者から、累計2,500万円までは特別控除が適用されます
- 2,500万円を超える部分に対しては、一律20%の贈与税が課税されます
3. 相続時の精算
- 贈与者が死亡した際、贈与された財産は贈与時の価格で相続財産に加算されます。
- すでに納付した贈与税額は、相続税額から控除されます
つまり、大枠のポイントで言うと、贈与の時に恩恵が受けられ、その分相続が発生した際に、相続税での精算が発生しますと言う内容になります。
結局、最終的に税金がかかるのであれば、あまり意味がないのではないかと思う方も多いでしょう。何がメリットであるのかなどについて以下解説していきます。
相続時精算課税制度のメリット
筆者が最もメリットがあると感じているのは、以下掲載の2など、今後収益を生む資産等については、この制度を使うことで、早期に贈与税の恩恵を受けながら贈与できること、そして将来産む収益分は本来相続税の対象になりますが、贈与を行うことにより早期に子や孫の資産とすることで、結果的に相続税を圧縮できると言う点です。
1. 税負担の軽減(特に贈与税)
- 年間110万円の基礎控除に加え、2,500万円までの特別控除が利用可能
- 贈与税の税率が一律20%と、比較的低い水準に抑えられています
- 将来的な相続税の負担を事前に軽減できる可能性があります
2. 資産価値の移転に有利
- 値上がりが予想される財産を早めに贈与することで、将来の相続税を抑制できます
- 賃貸アパートや有価証券などの収益性の高い資産を、早期に次世代に承継可能することで贈与以後の収益分について将来の相続税の節約に繋がります。
3. 相続時の一括精算
- 生命保険金などを含めて、相続時に一括で財産を精算できます
- 複雑な相続手続きを簡素化する選択肢となります
※2024年度の税制改正のポイント
2024年度から、年間110万円の基礎控除が新設されました。これにより、相続時精算課税制度と基礎控除を併用できるようになり、より柔軟な資産承継が可能となっています。
相続時精算課税制度のデメリット
1. 手続きの複雑さ
- 確定申告など、煩雑な税務手続きが必要
- 一度この制度を選択すると、暦年課税制度に戻れません
- 申告漏れがあると追加課税のリスクがあります
2. 制限事項
- 小規模宅地の特例が使えなくなる可能性
- 相続時に遺産分割の協議や相続税申告を最初からやり直す必要が生じる場合があります
- 贈与された財産の分割や遺留分の指定に制限があります
被相続人(亡くなった人)が不動産をお持ちで、相続人の子供や配偶者が同居しているケース、または子供が別居しているけれども持ち家を持ってないケースに関しては、小規模宅地の特例が使え 相続税額が大幅に圧縮できる可能性があります。こうした特例が使えなくなることがデメリットになるケースもあるので注意しましょう。
(参考)
FP/保険営業のためのやさしい相続解説(6)不動産の評価はどのように行うのか、小規模宅地の特例について詳しく解説注意点と推奨事項
相続時精算課税制度の適用を受けるには、最初の贈与の翌年の3月15日までに以下の書類を提出する必要があります。
- 贈与税の申告書
- 相続時精算課税選択届出書
- 受贈者の戸籍謄本
- 受贈者の戸籍の附票
- 贈与者の住民票の写し
最終的な判断には専門家と相談しましょう
この制度の適用が有利か否かは、各家庭の相続状況や資産構成によって大きく異なります。そのため、税理士や相続専門家に相談し、個別の状況に応じた最適な方策を検討することが強く推奨されます。
複雑な相続税制の中で、相続時精算課税制度は柔軟な資産承継の選択肢の一つです。慎重に検討し、専門家のアドバイスを受けながら、最適な相続対策を立てることが賢明です。
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